2001年、世の中で防音商品が認知されていなかった頃、インターネットで防音カーペットの販売を開始しました。

数多くのお客様から生活騒音に関するご相談をいただくようになり、ある時、その中でも気になるご相談をいただきました。

社宅に住んでいて、隣の方から騒音の苦情があり、家を追い出されそうなんです

当時防音カーペットのみを販売していたため、下の階への防音に関しては提案できました。一方でお隣に対する防音策ついては解決策が思いつかず、私は建材メーカーに相談に足を運んでみることに。

ただ、メーカーの担当者からの返答は、

「個人個人の音の悩みは非常にセンシティブで、一般的に大手ではそうしたお客様1人ひとりの対応は行っていられない。対応することは難しいです」

でした。

 

諦めきれなかった私はいろいろなメーカーを探して

再び取引してるメーカーの担当者に会いに行き、「なにか解決策はないか?」と相談に行きました。

そうした中、担当者がぽろっとこぼした一言にヒントを得ました。それが、「壁に吸音材を貼れば、効果はないことはない」という内容でした。

「なるほど!吸音材というものを壁に貼れば、音が軽減されるかもしれないのか」

ヒントを得た私はすぐさま行動に移し、インターネットでロックウール素材の「ダンボードG7」という商品の販売を開始します。

ダンボードG7とは60kのロックウールの吸音材に額縁状にガラスクロスをはったもので

主に機械室(ボイラー室など)の反響音を軽減する日東紡マテリアルの工業製品でした。

▲当時のホームページのダンボードの商品ページ

ただ元々吸音材は、壁の内部に使用するもので、壁の外に貼り付けるものではありませんでした。そのため、壁への設置方法(両面テープやピンで設置するように案内していました)をページ内で訴求したところ、想像以上に反響をいただきました。

その後私は、建材のカタログを見て「吸音材単体を使用するのではなくて、遮音シートを一緒にした方が防音効果が高くなる」という情報を新たに知りました。

本来、遮音シートやロックウールは防音工事の場合、壁の中に使用するもので

壁の表面に使用するものではないのですが、素人で主婦のわたしからすると、表でも中でも効果があるはず!!と

遮音シートを壁にはり、表面に吸音材を貼るという工法をおもいつきました(今では一般的になっていますが、これを考えたときは

建材メーカーをはじめ衝撃だったようです)

すぐさま「J-700」という遮音シートも合わせて販売をすることにしました。

▲遮音シートの上から吸音材を貼っている様子

「賃貸マンションに住んでいて、壁を傷つけられません」

2003年頃、賃貸マンションに住んでいる1人のお客様から「壁の防音をしたいけど、賃貸で壁や壁紙を傷つけられないので何もできません」という相談が。

「どうしたら壁を傷つけずに防音できるだろう?」

悩みながらある通販の雑誌を眺めていた時にふっとつっぱりポールで間にネットがある

フックなどでものがひっかけられるパーテーションが販売されていました。。

「このつっぱりポールの間に自社で施工してきた吸音施工のボードに遮音シートをつけたパネルをいれてつっぱれば壁を傷つけずに防音できるかもしれない!」

そのように考えた私は、新たに「つっぱり防音ボード」という商品を開発しました。

つっぱり▲つっぱり防音ボード

この商品はつっぱりポールの間に、吸音材と遮音材でできたボードを挟んで固定していて、壁を傷つけることなく壁の防音対策ができるというものでした。

賃貸マンションに住む数多くの方から支持いただき、「つっぱり防音ボード」は人気商品となりました。

お隣の男性の声が気になって自分の声も隣に聞こえてると思うと気持ち悪くて・・・という若い女性から

この製品をかって「ぴあさん!助けてくださってありがとうございます!どうぞこれからも私たちみたいに悩んでいる方を助けてください」

そのお声に涙が出てすごく励みになったのを覚えています。

同時期には、「吸音パーテーション」というオフィスの仕切りなどに使用できる商品を開発。販売直後からいきなり大手製鉄会社から20台程注文をいただき、とても驚いたことを覚えています。

吸音パーテーション

▲吸音パーテーション

ただそうした中、あるお客様から質問をいただきます。

つっぱりポールのボードで「これだとつっぱりポールの間から音は漏れないんですか?」という内容でした。

確かに、防音する上で隙間対策は必須です。

「どうすれば防音効果を高めながら、賃貸に住んでいる方でも気軽に対策できるんだろう?」

悩んだ私は、部長(ワンタッチ防音壁を開発した職人兼ワンタッチ開発者)と話し合いながら、商品の改良を行いました。

そこで挙がったのが、「吸音材と吸音材の間に遮音材を挟んで壁にべたっと貼り付ければ早い!そのほうが防音効果が高まるのでは?」というものでした。

そのアイデアから、現在のワンタッチ防音壁の先駆けとなる防音パネルが出来上がります。

当時はスタイロフォーム+遮音材+吸音材(高密度のグラスウール)の構造になっていました。その後、さらに防音効果を高めるため、吸音材(高密度のグラスウール)と吸音材の間に遮音材を挟めた構造に生まれ変わりました。

お客様の声を参考に、沢山の改良を重ねる

一気にピアリビングの看板商品となった「ワンタッチ防音壁」でしたが、いくつか課題もありました。

それが、

・ワンタッチ防音壁を触ると肌がチクチクする

・表面に中のグラスウールの中の黒いものが透けてみえてくる

 

ことでした。

ワンタッチ防音壁で使用している吸音材は、触るとチクチクするため、ワンタッチ防音壁を製作する際はクロスで覆っていました。ただしそれでもチクチクが気になるという声をいただいたために、クロスを1重ではなく2重で巻くように改良しました。

また吸音工事で使用している高級布クロス(ファインヴェールクロス)を使用するタイプも制作。

 

そうすることで繊維がクロスの外から舞いづらくなり、肌へのチクチクも改善されました。

また設置に関しては、2つの改良を行ました。

1つ目が、サイズの見直しです。当時基本サイズを畳一畳分にしていたために、ワンタッチ防音壁が非常に重く設置しづらいという課題がありました。そこで最大サイズを90cmに変更して、誰でも簡単に設置できるように改良しました。

2つ目が、取付部材の見直しです。両面テープ、塩ビジョイナー、つっぱりポール、そして新たにラブリコと2×4材を使用した設置方法を考案しました。ラブリコ×2×4材だと、2人で5〜10分程度で設置が完了するため、とても簡単です。

ラブリコ | 防音専門ピアリビング |

▲ラブリコ×2×4材でワンタッチ防音壁を設置している様子

このようにお客様からのお声一つひとつを吸い上げ、改良を繰り返すことでワンタッチ防音壁は数多くの方から愛していただけるような商品となりました。

 

そのほか、ワンタッチ防音壁もお客様のお声からいろいろなカット加工や表面材を変えたり、またさらに防音したいという方に

4重にしたタイプなどその時に応じて制作をしてきました。

もうワンタッチ防音壁ができて(2003~2004年くらい)長年になりますが今も愛されている製品になります。

 

これからもお客様の声を取り入れながら、皆さんに求められるような商品を開発できるように尽力していきます。