【物件探しのコツ】壁の防音性を見極める方法
引っ越しの前に、部屋の広さや、日当たりの確認、周囲の環境などを確かめるために物件の内見に行かれると思います。
内見のときに、ぜったいに確認しておく必要があるのが、「部屋の防音性」です。
まず知っておきたい、建物の構造の種類
建物の構造は大きく分けて3つあります。
1.木造
2.鉄骨造
3.鉄筋コンクリート造

この中で、防音性が高いのは3の鉄筋コンクリート造ということは、ご存知の方も多いと思います。
壁の造りの違い
防音性が高い物件として鉄筋コンクリート構造の物件を借りたのに、住んでみたらお隣の生活音や話し声がよく聞こえるので、こちらの話し声も聞こえているのではと不安、賃貸なので壁が薄いのでは?、というようなご相談をよくいただきます。
お隣と面した壁のことを「戸境壁」と言いますが、この戸境壁の種類は大きく分けて4種類あります。
1.コンクリートの壁に直接クロス貼り
2.コンクリートやブロックで仕切られた壁に石膏ボードを貼るGL工法
3.コンクリートの壁の前にLGSなどで壁を作るふかし壁工法
4.乾式壁で戸境壁を作る




この中で一般的に多いのが
(1)直壁
(2)GL工法
(3)ふかし壁工法の戸境壁です。
よく、物件選びのポイントで「軽くノックするように壁の中央を叩く」という
方法を紹介されているので、ご存知の方も多いと思います。

壁の造りを見極めるには?
ノックした時の音が「ゴツゴツ」と鈍い音に聞こると、表面がコンクリートの戸境壁です。
ノックした時の音が「コンコン」と太鼓のように響いて聞こると、表面が石膏ボードの戸境壁です。
戸境壁が、「ゴツゴツ」と鈍い音に聞こえるコンクリートの壁であれば「防音性に優れている」と思っても大丈夫です。
ただ、よく言われる「ノックの音が響きやすい壁は遮音性も低い」というのは実は正確ではありません。
ノックの音でわかるのはあくまで「壁の表面」の素材だけだからです。
表面が石膏ボードでも、コンクリートの戸境壁の前にもうひとつ壁を作る二重壁工法や、コンクリート並の遮音性能がある乾式壁の場合は遮音性は高いのです。

表面が同じ石膏ボードでも、コンクリートやブロックで仕切られた戸境壁に直接石膏ボードを貼るGL工法だと遮音性が低くなるので、これを見極めることが大事です。
見極めるポイントは、壁をノックする場所を少しずつずらしながら音を聴き比べることです。
GL工法の壁は、コンクリートの壁に団子状のボンドを付けて石膏ボードを直接貼り付けています。
なので、壁をノックする場所を少しずつずらしながら音を聞いていくと、「コツコツ」いう少し硬い音が聞こえます。
これが、団子状のボンドの部分の音なので、壁の複数箇所で「コツコツ」という音が聞こえる場合は戸境壁がGL工法と思ってください。

出典元:N.style建築工房
遮音性が高いのは、GL工法の壁?
GL工法がなぜ遮音性が低くなるかというと、次の2つが原因です。 ・コンクリートと石膏ボードがボンドで繋がっていて音が伝わる ・コンクリートと石膏ボードの隙間が狭く共振しやすいこと

また、コンクリートの壁に直接クロス貼りの戸境壁でも、築年数の違いで壁厚が変わります。
築年数が30年~40年くらいの古い物件だと壁の厚みが12cmの場合やコンクリートブロックで作られた戸境壁の場合がありますので注意が必要です。
築年数が浅い物件の戸境壁の厚さは、15cm以上が基本です。
コンクリートの厚みが15cmの遮音性能は概ね50db
コンクリートの厚みが12cmの遮音性能は概ね45dbですので
遮音性能が低くなりお隣の生活音や話し声が聞こえる場合があります。
コンクリートブロックで作られた戸境壁はどう?
コンクリートブロックで作られた戸境壁は、さらに遮音性能が低くなりますので注意が必要です。
[コンクリートブロックは中が空洞なので、コンクリートに比べて遮音性能が低い]

まとめ
鉄筋コンクリート構造の賃貸物件の内見で防音性を判断する方法を以下にまとめました。
・物件選びは、防音性が高い鉄筋コンクリート造を選ぶ
・内見の際にお隣の生活音がどれくらい聞こえるか確認する
・戸境壁をノックした時の音が「ゴツゴツ」というコンクリートの壁を選ぶ
・戸境壁をノックした時の音が「コンコン」というGL工法ではないか確認する
・できるだけ築浅物件を探す
・近隣の家賃相場より安い物件は戸境壁が薄い場合がある
この記事の情報が、皆様の物件選びの参考になれば幸いです。